風山漸
漸 · Jiàn
山の上に木が静かに、その場に着実に育つ姿。内陸へと向かう雁の旅路の六つの段階を通じて、順序を追って進む漸進の道を説く卦です。
卦辞
女帰(とつ)ぐに吉なり。貞に利(よ)ろし。
婚姻は、易経において順序を重んじるプロセスの典型として描かれます。そこには焦って先を急ぐ余地はありません。
象辞
山の上に木あるは漸なり。君子もって賢徳に居り、風俗を善くす。
文化全体へと及ぶ感化が、意図的にこの卦のもとに置かれています。それは世の中でもっとも緩やかに進むものだからです。
この卦の意味
漸(ぜん)とは段階を追った発展のことであり、易経はそれを内陸へと飛来する雁(がん)の歩みを通して描いています。水際(干)、平たい岩(磐)、高台(陸)、木、山頂(陵)、そして遥かな高空(逵)へ。六つの爻のそれぞれが一つの段階を成しており、その順序を入れ替えることはできません。
この卦は婚姻の儀礼と結びつけられています。周代の婚姻とは、何ヶ月もの歳月をかけて正式な儀礼を一つずつ踏んでいくものでした。ここに提示されているのはまさにその型です。段階を踏む歩みが遅いのは、決して非効率だからではありません。その一つひとつの段階があるからこそ、得られた成果が確かなものとなるのです。
第三爻は、その順序が乱れたときに何が起こるかを示しています。雁は正規の道筋を外れて高台へと一気に進んでしまい、そこには始まっていながら成し遂げられないものの象徴が並びます。出征して帰らぬ男、身ごもりながら産み落とせない女。順序を飛び越えて進んでも、速やかに進展するどころか、中途半端なまま破綻を招くだけです。
第五爻は、この古典がもっとも深い忍耐を示す場面です。山頂にとどまり、三年ものあいだ何事も成就しない日々が続いたのち、最後には何ものもその結実を阻むことはできないと静かに告げられます。そして最上段の上爻では、雁の羽毛が神事の舞で用いられる姿で結ばれます。長きにわたる発展が遺すものは、それを成した当人の生を超えて後世へと受け継がれるという、この書の静かな真理がここに語られています。
占断において
占断において漸の卦が出た場合、問いの対象は確実に進展しますが、それは段階を追って進むことを示しています。状況は良好ですが、決して急速ではありません。
授けられる助言は、いきなり最終地点を目指すのを控え、まずは目の前にある次の段階へと堅実に足を進めることです。先を急いで段階を飛ばそうとする焦りを抑えなければなりません。たとえ長い停滞に直面したとしても、五爻の教えを心に留めておくとよいでしょう。三年ものあいだ何の進展が見られなくとも、結末はおのずと訪れるのです。
六つの爻
爻の文は、占いでその爻が変爻となったときにのみ読みます。ここでは卦が描かれる順に、図の上から下へと並べてあります。
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上九
鴻(こう)逵(き)に漸(すす)む。その羽(はね)用(もっ)て儀(ぎ)に用(つか)うべし。吉なり。
上昇の極致。残された羽毛は、神聖な儀礼の一部として用いられます。
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九五
鴻(こう)陵(りょう)に漸(すす)む。婦三歳孕(はら)まず。終(つい)にはこれに勝(か)つこと莫(な)し。吉なり。
高みにおいて長く待たされたのち、遅れて結果が訪れます。易経のなかでもっとも深い忍耐を説く爻です。
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六四
鴻(こう)木(き)に漸(すす)む。或(ある)いはその桷(たるき)を得(う)。咎(とが)なし。
木にとまる雁は、本来の居場所ではない不慣れな環境にあります。それでもこの爻は、身を落ち着けられる平らな枝を見つけ出します。
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九三
鴻(こう)陸(りく)に漸(すす)む。夫征(ゆ)きて復(かえ)らず、婦孕(はら)みて育(やしな)わず。凶なり。寇(あだ)を禦(ふせ)ぐに利(よ)ろし。
順序を乱して先へと進みすぎています。描かれているのは、着手されながら決して全うされない物事の姿です。
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六二
鴻(こう)磐(ばん)に漸(すす)む。飲食衎衎(かんかん)たり。吉なり。
確かな足場と、分かち合える豊かな食事。この爻は、恵みは皆で共に楽しむべきものであることを伝えています。
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初六
鴻(こう)干(かん)に漸(すす)む。小子厲(あや)うし。言(こと)あるも咎(とが)なし。
最初の着地であり、身を潜める場所もなく非難に晒されます。しかし古典はその批判を気に留める必要はないと退けています。
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